決める力
人はみんな、道はたくさんあって、自分で選ぶことができると思っている。選ぶ瞬間を夢見ている、と言ったほうが近いかもしれない。
私も、そうだった。
しかし今、知った。はっきりと言葉にして知ったのだ。
決して運命論的な意味ではなくて、道はいつも決まっている。毎日の呼吸が、まなざしが、くり返す日々が自然と決めてしまうのだ。
(吉本ばなな「満月」)
たぶん高校生、もしかしたら中学生の時に出会って、好きで好きで、繰り返し読み過ぎて、フレーズや言葉が染み込んでしまったような小説。
改めてとても久しぶりに読んで、上の部分がとくに響いた。
今回、夫と離婚することを決めたとき、もう最後には、全部の矢印が一つの道だけを指し示しているように感じた。
結婚した、婚姻届を出しにいった日から、ずーっと離婚するかもしれない、という暗い予言のようなものが自分の中にあった。でもそれに抗い続けて、気づかない振りをしたりしていた。
しんどかったな、苦しかったな。もちろん幸せだったこと、楽しくて嬉しかったこともあったけど、なんだか背負っていたものからさよならして、ほっとしたのは事実。
決めることができて、本当によかった。ずっと迷って悩んで、でも自分で決めて動けてよかった。
- 作者: 吉本ばなな
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